腰を痛めてしまい……などの理由で、事務職の転職を希望する人が割と多いと思います。
実際に職業訓練中に言われた事ですが、「腰を痛めた人は、座りっぱなしの事務職だと辛いよ」という事です。
とは言うものの、ずーっと立ちっぱなし(特にライン工)だった人から見たら、自由に座ったり足ったり出来る事務職は天国に見えます。
実際の話、その自由度は会社によりますが、大体の場合は2~3時間に1回のトイレ離席の時(タイミングは自由)ぐらいしか席を立てないと思っていいです。
よって、座りっぱなしで長時間作業が絶対に出来ない! という方でない限りは、事務職への転職を目指すのはアリ。
事務職、つまりパソコン?
デスクワークと言ったら、事務職。事務職と言ったら、パソコン。
じゃあ、パソコンのやつ……得意じゃないから、簡単なやつで!
と、いった感じで、事務職を目指す方が実際にやる職業訓練は、「パソコン基礎科」が非常に多いです。
もっとも、「パソコン基礎科」と書きましたが、訓練期間によって多少の名称の差はあります。
(「office科」とか「事務基本科」とか色々です)
このパソコン系はどこも大体似たような感じで、WordとExcel(の基礎)が学べる内容となっております。
あと、PowerPointも入っている場合もありますが、それだけです。
……えぇ、それだけなんです。
個人的な意見を申しますと、パソコン基礎科はあまりお勧めできません。
特に、スマホが簡単に使えるような「デジタル機器全般に苦手意識がない人」の場合、今現在は知識がないからパソコンが使えないというだけで、ほんの少し教えてもらえば楽々使いこなせてしまうからです。
パソコン基礎科だけでは、物足りなくなってしまうのが理由のひとつです。
けれど、もっと重要な部分を考えてみましょう。
事務職でパソコンを使うのは何の為?
事務職のイメージって、パソコンをカタカタ構っているイメージが浮かぶと思います。でも、パソコンを構うこと自体が仕事ではありません。
まず、ビジネス文書を作成したりします。
そして、毎日しなきゃならないのが、収支の管理です。
……つまり、帳簿を付ける作業をデジタル化しているわけです。
上記のパソコン基礎科の場合、ワープロソフト(Word)や表計算ソフト(Excel)の操作の仕方を習います。
けど、帳簿に付け方はおろか、見方すら教えてくれません。
「いや、それぐらい分かるよ!」って思われるかもしれません。
けど、会社の帳簿で書き込んであるのは、家計簿とかで使われる「単式簿記」ではなく、「複式簿記」です。
これは知識のある人じゃないと、帳簿を見ても何が何なのかサッパリわかりません。
一般事務の新人さんの場合、経理までは任されない事は多いですが、伝票を見て、計算しなきゃならない事は多々あります。
つまり、パソコンだけ習っただけじゃ「事務職への転職は難しい」わけです。
だって帳簿が読めないし、書けないんですもの。
1から育てるつもりで若者の採用ならばアリですが、中年以降では正直「ごめんなさい」と思います。
ただ、経理担当専門がいるような比較的大きめの企業であれば、パソコンが出来れば可な事務職もないわけではありません。
(田舎だと、ほぼ小企業で事務員も一人しかいない会社が多数あるので、特に厳しいかと思われます)
パソコン講座がダメならどうすればいいの?
いえ。決してパソコンがダメなわけじゃありません。
むしろ、パソコンが出来なきゃ、今の時代では事務員としてはナシでしょう。
ここで強く言いたいのは、パソコンの基礎じゃなく、もう少し上の難易度の講座がないか調べてください。
(私の地域では「応用科」とか「エキスパート科」とかいう名称がつけられていました)
パソコンに簿記が付随したコースがある筈です。
事務職を目指すのであれば、最低でも簿記3級が付随したコースを選ぶべきです。
簿記3級の内容は、個人商店を主とした内容なので「工業簿記も含まれる2級じゃなきゃ役に立たない」と言われがちですが、少なくとも帳簿を見る能力は付きます。
大企業ですと経理課がありますし、小企業ならば日々の帳簿は事務員が付けても、その他の難しい事は経理事務所に丸投げという会社も多いですから、最低ラインの能力は得られるわけです。
ただ、現実的な問題としては、「簿記2級以上」という条件を出している企業の方が給料はいいです。
……もっとも、その条件の職では数字に強い方でないと過酷な業務内容である事は確かです。
ならば、「簿記3級以上」の条件では……と、申しますと、その条件の求人は非常に少ないです。
簿記が必須な企業ならば、2級以上(工業簿記)の知識がないと仕事にならない場合が多いからです。
では、何故「簿記3級」を勧めるのか?
理由はシンプルで、「簿記○級以上」という条件のない事務職への応募をした時に有利だからです。
だって、ある程度なら帳簿が読めるんですもの。
営業さんが過去の数字を知りたい時に、事務の人にサラッと聞くだけで「事務員が帳簿を見て答えてくれる」わけです。
業務上、必須ではないけど、帳簿が読める人の方が出来れば欲しいわけです。
年齢や性別等、似たような条件の応募者が複数いた場合、簿記を持っている人を採用する可能性が高くなります。
(残念ながら、若い女性の方が有利なのは否定できません……けど、令和の今の時代ならば20代以外は門前払いという訳ではないと思います)
ただ、一つだけ注意点があります。
簿記3級ぐらいなら簡単そう?
ネットで検索すると、「簿記3級は合格者○%だから簡単です」という記事が多く載っています。
けど、簿記3級はネット記事で書いてある通り「簡単」なわけではありません。
私自身、満点で合格した経験はありますが、2ヶ月みっちりインプットして「完璧だ!」と思うレベルで模擬試験をしたら、初回の正解率は7割切っていましたから。
(参考までに私の学生時代の数学の成績を述べますが、90~100点の辺りなので決して数字に弱いわけではありません)
実際、職業訓練中は真面目にみっちり勉強して落ちた方もいます。
(同じ訓練の仲間でした。本当に真面目に勉強していたのですが……とても残念です)
ちなみに、これは職業訓練の説明会で教えて頂いた話なのですが、「難易度の高い訓練は人気がないのよねぇ」との事。
もっと分かりやすく言うならば、
パソコンのみの訓練は、難しくなさそうだから人気。
パソコンに簿記がついている訓練は、難しそうだから不人気。
……らしいです。
つまり、他の求職者に差をつけて応募できる条件が整うわけです!
(真面目に訓練に行って、ちゃんと資格を得られれば)
これはチャンスです。
特に、少し年齢制限で引っ掛かるようになってきた方達には、このチャンスは逃してはなりません。
数字に弱いから無理そうな場合は……
どんなに頑張っても、苦手な分野というのは誰にでもあるものです。
どうしても、数字に弱いから簿記は無理そうだと思う方は、有利な職種は限られてしまいますが、CADの職業訓練もお勧めです。
(可能であれば、office系+CADコース。なければCADだけでも可)
私事ですが、CADオペレーター(パソコン上で製図をする仕事)の求人を探していた時期があるのですが、一般事務と兼用という求人が割とあるんですよ。
ただし、CADが必要な業界は、大体が電気系か建築系。
基本的にパソコンがメインの内勤ですし、「事務仕事以外したくない!」という強い拘りがないのであれば、挑戦するのもアリだと思います。
事務職はライバルが多い職種です。
20代なら年齢だけで採用される見込みはありますが、30代、40代……となると、経験者じゃないと書類審査すら通らないことも多いでしょう。
年齢勝負では負けるのが分かっている年代であれば、こうした限定的な職種を狙う方がライバルが少ないです。
ただ、地域によっては違うかもしれませんので、ハロワで求人情報を検索してからCADを視野にいれるかどうかを考えてください。
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