また、日常の業務(仕事)でExcelを操作するのに時間がかかる、遅い、などといった方に見直してほしい点を書いておきます。
筆者は特定のパソコン教室に在籍していないのですが、初心者向けのパソコン講座の外部講師としてお教えする事が多々あります。
教えている内容は、Word、Excel、PowerPointです。
Wordの場合は、ほぼタイピング速度が影響します。
けど、Excelの場合だとタイピング以外の点で個人差が大きく表れてきます。
- 基本的な関数は覚えている。
- 問題文の操作の方法は知っている。
- タイピング速度はほぼ同じ。
上記の2点が満たしている人同士で同じ模擬試験をやって頂いた時、Aさんは制限時間の半分ほどで終了し、Bさんは制限時間オーバーしても終わりませんでした。
さて、何故でしょうか?
動作がトロいわけではない
上記のお二人の例ですが、決してBさんの動作がトロいわけではありません。
世の中にはビックリするぐらい全ての動作がスローな方もいらっしゃいますが、そんな人は非常に稀です。
タイピング速度は速くありませんが、MOS試験の場合はタイピングする機会は非常に少ない検定ですので、今回は関係がありません。
ちなみに、MOS(Expert、上級者向けの難易度であっても)の制限時間50分の模擬試験は、筆者の場合はショートカットキーは駆使せずにゆっくり操作しても30分かからず解くことが出来ます。
きちんと試験範囲を理解していれば余裕がある内容の試験となっておりますので、過剰なスピードは求められないのです。
AさんもBさんも同じ初心者で、大体同じ時間のパソコンの勉強してきて、理解度にほぼ差はない状態でした。
けれど、模擬試験のような大量の問題を一気に出されると、大きな差がついてしまうんです。
実際に模擬試験に取り組んでいる最中に見ていると、理由がわかりました。
パソコンの基本的な操作が不慣れなせい
こちらの見出しだけを見て、「これは自分には該当しない」と思った方!
Excelで時間短縮する術を検索した方の場合、残念ながら自覚がないだけで該当する可能性が高いです。
Excelの場合、他のセルを参照する機会が多くあります。
すると、大きく差が出るのは、「スムーズに選択範囲を取れるかどうか?」という点です。
- 他のセルを参照する際、何の迷いもなく一発で上手く出来ますか?
- 行や列全体を選択して削除・挿入する際、一発で右クリックから操作できますか?
他にも細かな部分はありますが、大きく目立つ要素は以上の2点です。
大量のショートカットキーを覚える必要はない
「Excel短縮術」とかこういった内容のブログ記事はネット上に多く存在しますが、その内容はほぼ「ショートカットを使いこなせ」といった内容です。
決して間違いではないのですが、それはあくまでも「ある程度できる人が更に高みを目指すための術」であり、パソコン初心者はそれ以前の問題だというのが正直な感想です。
筆者は実際にパソコン講座で初心者~中級車の多くの方の操作を直に見てきましたので、大きな間違いはないと思います。
ショートカットキーは、特定の操作をしたい数だけ覚える必要があります。
つまり、操作する種類が多くなればなるほど、ショートカットキーを覚える必要が出てしまうわけです。
基本的な操作が不慣れな人が、そんなものを覚えたところで使える範囲は限られてしまいます。
当然、ショートカットキーを知らない操作が業務が多くなった際に、スピードがガクンと落ちます。
特定の操作しかしないというのであればショートカットキーを覚えるのは有効ですが、様々なシーンで多用な操作を想定しているのであれば、ショートカットだけで速度UPを目指すやり方はお勧めしません。
今回は、Excelのスピードアップとして使える手段の汎用性の高い部分を紹介したいと思います。
オートSUMの自動でセルの参照された時の変更の仕方
最も使用頻度の高い関数といえば、SUM!
「関数何ソレ美味しいの?」な人でもオートSUMボタンをポチっと押せば誰でも使えてしまうという素晴らしい代物です。
けど、オートSUMボタンで入力した際、自動的に合計したい範囲が入力された状態になりますが、下の画像のように選択範囲が意図しないセルを指定されていることが多々あります。 こうした時、新たに選択し直す必要が出てきます。
さて、選択し直す時にどのような操作をするでしょう?
Excelで時間のかかる人の場合、選択されている【E2:G2】の部分のわざわざDELキーで削除してから、新たに入力してしまっている事が非常に多いです。
もしくは、関数を全て消してから新たに《fx》関数の挿入から入力し直している方もいます。
実は、上の画像のように、緑色の太い点線で表示されている時は、他のセルをクリックするだけで別の選択範囲の指定が可能です。
つまり、わざわざ誤ったセル範囲の部分を消す必要はありません。
間違っていたとしても、落ち着いて正しいセルを選択し直すだけで良いのです。
地味ですけど、ここは非常に重要なポイントです。
今回の場合ですと画面内に6行あるだけですから、普通に6行分のセルを指定するようにドラックするだけでOKです。
けれど、これがもし60行や600行もあったとしたら、どうでしょう?
ドラックして画面外にポインタを追いやるような位置におけば、下へ下へとスクロールしていきますから、選択する事も可能ですが非常に時間がかかります。
また、勢いあまって指定の行よりオーバーしてしまう可能性もあります。
そんな長い行の選択にお勧めの操作は、2つありますのでご紹介します。
長い行の表を一気に選択する方法
Ctrl + Shift + ↓ のショートカットキー
- 選択したい範囲の最初のセルだけをクリックします。
- キーボードで、Ctrl + Shift + ↓ を押します。
- 表の最後の行まで一気に選択されます。
非常に便利なショートカットキーですが、1つだけ弱点があります。
表の最終行に、「合計」等の集計行が存在する場合、選択範囲として含めたくない場面に遭遇した際に困るわけです。
その時は、Shift + ↑ を押してみてください。
Shift + ↑ を押しますと、選択された範囲の最終行が縮まります。
実は、このショートカットキーは文字にも有効で、押した矢印キーによって現在の選択範囲を増やしたり減らしたりすることが可能です。
始点クリックし、Shiftを押しながら終点をクリック
- 選択したい範囲の最初のセルをクリックします。
- 表の最後の行まで画面をスクロールします。
(マウスのホイールを使うと楽です) - キーボードのShitキーを押しながら最後の行のセルをクリックします。
以上のような操作をしていただくと、何十行でも何百行でも一発で選択することが可能です。
画面外にはみ出している部分まで選択範囲を取らなければならない場合は、この操作が出来るかどうかで操作時間に大きな差が出てきます。
ただ、上記の2つの内、最初に紹介したショートカットキーを使った方法を使用する場合、必ず最後のセルまで選択されているかを確認するようにしてください。
1から自分で作ったExcelファイルなら間違いはないのですが、試験の場合は意地悪なことに「わざと空白のセルが用意されている」ことがあります。
さて、Excelの時間がかかる原因のもう1点ですが、こちらも見出しだけで回れ右をしないようにしてください。
行や列の操作がスムーズに出来ていない
時間のかかる例その2ですが、上記の操作は決して出来ないわけではないのです。
「列を挿入してください」と問いかけると、みんな出来るんです。
けど、人によって数秒~十数秒ほどの差が出てきます。
行や列の問題数が多ければ、それだけ積み重なって大きな差となります。
実際に列を挿入してみる際、まずは挿入したい列の左側の列番号を選びます。
(いきなり右クリックでも出来ますが、今回は予め選択してから挿入という操作でいきます)
次に右クリックをするのですが、この時、下の図のようにマウスポインタ―の位置が変わった状態でマウスの左ボタンを押しつつ、マウスを動かしてしまう人がいます。
こうなると、勝手に列の幅が変わってしまいます。
そうならない為に、筆者は初心者にExcelの操作を教える時は必ず「Excelで選択する際は、必ずセルの真ん中、行・列番号は真ん中をクリックするようにしましょう」とお伝えしています。
話が少々逸れますが、セルの選択時も同様に端っこをクリック(+ドラッグ)してしまった為に意図せず移動してしまう事故が多々あるからです。
ポインターの形が変わるので移動してしまうことは分かるのですが、気づかないんですよ。
最初の内に「マウスポインタ―の形をよく見るように」とも教えていますが、焦って操作をする方ほどよく見ず失敗し、却って時間がかかる原因となってしまいます。
さて、話は戻しまして、今回は2列の挿入をしてみたいと思います。
先ほどのように列を選択して右クリック……ではなく、複数列を挿入したい場合は、挿入したい列の数を予め選択してから右クリック→挿入を選びます。
まず、この複数行の挿入の仕方を知らない方だと、1列ずつ挿入を何度も繰り返すことになるので、非常に時間がかかります。
今回の例だと2列分なので大差はありませんが、もし10列分だったら?
下手すれば1分以上の差がつきますよね?
今回の例だと2列分なので大差はありませんが、もし10列分だったら?
下手すれば1分以上の差がつきますよね?
ちなみに挿入した列ですが、左側の列幅で挿入されてしまいます。
こちらは挿入した後に右下に出てくる挿入オプション(刷毛みたいなボタン)をクリックし、「右側と同じ書式を適用」を選べば他の列と同じ列幅に変更されます。
この挿入オプションに気付いていない場合、他の列の幅をわざわざ確認して、再度挿入した列幅を選択して列幅の設定……と、非常に手間がかかってしまいます。
以上のように、一つ一つは小さな事ですが、積み重なっていくと非常に大きなタイムロスとなります。
自称中級者ほどその傾向にあるようで、初歩的な基本的な操作を疎かにしてしまった為に起こってしまう出来事です。
特に、「Excel簡単仕事術」「使える小技100」みたいな小手先の技の紹介本を読んでExcelを覚えてしまった方がその傾向にあります。
上記に挙げた2点は特に目立った部分だけですが、他にも細かな部分は多くあります。
是非、一度でいいから基礎から学べる教科書的な本を手に取ってみてください。
最後になりますが、オールカラーで初心者~中級者でも使える本を紹介しておきます。
Excelの基本的な操作から、VLOOKUP等の役に立つ関数まで掲載されていますので是非!
(筆者は2016バージョンのを持っておりますが、この本に載っている関数はMOSの範囲より多いです)
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