日商PC(文書作成)合格する為の学習法

2024/04/18

Word 日商PC

t f B! P L
筆者は外部講師として初心者~中級者へとPCを教えているのですが、人にはそれぞれ違った「躓きポイント」があります。

日商PC検定の講座を受け持つことになった際に、合格する為のポイントをいくつか気づく事ができましたので、今回はそれを記事にしたいと思います。

尚、この記事に記載したことは、3級をメインとしていますが、2級も共通して気を付けるべきポイントは同じなので、2級受験者の方もご覧ください。

この記事は、
・合格する為の勉強法が知りたい
・日商PC(文書作成)の内容を詳しく知りたい!
といった方に向けて書いております。

※データ活用に関しては、後日に記事にする予定です。

公式テキストを2冊、手に入れる

当たり前といえば当たり前ですが、まずは本番でどのような出題形式をされるかを把握するために、絶対に必要なのが公式テキストです。
残念ながら日商PCは過去問は入手不可能ですので、本番に限りなく近い問題を知りたい方は公式テキストを入手する他ありません。


本番に近い形の模擬試験が3回分ついており、解答ページには合格するためのポイント解説があります。
日商PC検定はコンピュータによる正誤判定なので、この判定基準に沿った解説が書かれている点は非常に優秀。

なお、3級であれば「日商PC検定倶楽部」という無料で学習できるサイトもありますが、これだけで合格を目指すのは難しいです。
理由は単純で、知識問題(PCやネット関係の知識、文書作成の知識が問われる問題)は、公式テキストでなければ学ぶことが出来ないからです。

日商PCの場合、Wordソフトの操作による実技の他、知識問題(アナログで言うならば、筆記試験ですが、コンピュータによる3択問題)があります
こちらは、実技のテキストとは別のテキストが必要です。
(この1冊で、他の2科目の知識問題も学習できます)



この公式問題集は必ず購入することをお勧めします。

少なくとも3級に関していえば、このブログを書いている2024年現在、2桁を超える筆者の生徒は全員が「勉強したところが出た」と言っておりましたので。
(ちなみに、筆者の生徒は全員が最終的には問題集の9割以上の正解率を叩き出すまで学習してくれたお陰で、知識問題は楽勝で合格点を得ています)

なお、この問題集で大事なのは、問題を解いて100点を取ることではありません。
解答ページに載っている「解答以外の選択肢を含めた知識を覚える」ことが非常に重要です。

解答以外の選択肢として出てくる用語も試験の範囲内ですので!

日商PC検定倶楽部とは?

上記で少し紹介しました無料で学習できるサイト、それが「日商PC検定倶楽部(ここをクリックすると別窓で外部サイトに飛びます)」です。

日商PCの公式サイトからも学習用のサイトとして紹介されておりますので、ご存知の方も多いでしょう。
メールアドレスと任意のパスワードの設定が必要な会員制でありますが、他の個人情報は不要です。

3部門の学習用ファイルが約10問ずつ用意されております。
それぞれ、Word、Excel、PowerPointの課題用ファイル+問題文のPDFファイルがありますので、公式テキストの問題数では不安だった方にお勧めです。

また、本番に近い形のプログラムも1問だけ用意されていますが、こちらは新しいプログラムをインストールしたくない人はスルーでもいいかな?と思います。


話は戻りますが、この「日商PC検定倶楽部」だけの学習をお勧めしない理由について。

用意されているデータは内容が古いというのも理由のひとつ。
今現在の検定の範囲外と思われる箇所まで含まれています。
逆に言うならば、現在の検定試験の選択範囲内の箇所が含まれていない可能性もあります。

また、問題文と解答の一部が不透明な部分も多々ありますので、これだけで合格を目指すのは無謀です。


……とはいえ、あくまでも補助教材としては非常に優秀だと思います。
なにより、タダですし。

実技の学習する順番

実技の学習の順番としては、

  1. 公式テキスト(模擬試験以外)
  2. 日商PC学習倶楽部のサンプル問題
  3. 公式テキストの模擬試験
  4. 日商PC学習倶楽部の実技試験体験版

の順番がお勧めです。

なお、知識問題に関してですが、こちらは実技の練習の前から着手して、本番前まで小まめに学習を続けておいた方が良いです。
(特に、PC関係の知識があまりない人は定着率が悪いので、本当に小まめな学習が必要です)

1.公式テキスト(模擬試験以外)

まずは、公式テキストでビジネス文書についての知識をサラッと叩き込む。

Wordの操作がない部分なのでスルーされがちですが、最低でも「社内文書」と「社外文書」の違いぐらいは答えられるようにしてください。


ある程度の知識を叩きこんだら、今度は模擬試験以外の部分をWordを使いながらテキストの課題を解きつつ、ビジネス文書のフォーマットを覚える

最初はビジネス文書を作る方法を説明されていますが、「右寄せにします」と言われたら、「何故、右寄せにするか?」を把握すること。
(※ここら辺は、前半のビジネス文書の知識が書かれている章に書いてあります)

段落を下げる部分、そうでない部分。
「ですます」がいる部分、そうでない部分。

日商PCは、こういった部分を「操作する側が知っていることが大前提」の試験です。

2.日商PC学習倶楽部のサンプル問題

公式テキストで試験範囲の全体を学習したら、そのまま模擬試験へ…と進みたくなりますが、その前に日商PC体験倶楽部のご利用をお勧めします。

どの検定でも言えることですが、試験範囲の学習後に模擬試験を挑むと、かなりボロボロの結果となります。
……かなり自信があっても、マジでボロボロな結果です。

模擬試験は、「未知の問題へ挑んだ際、どれぐらいの速度で正確に解くことが出来るか?」と図る為に、着手しない方が実際に本番に挑んだ際の実力がわかります。
できれば温存しておきたいものです。


まずは、サンプル問題で実際にビジネス文書の作成を体験してみましょう。
ここには2桁を超えるサンプル問題が用意されています。

ここで気を付けてほしい点が一つ!

サンプル問題は一気に解かないこと
もっと具体的に言うと、次々と問題を解き続けてしまってはいけません。

1つのサンプル問題を解いたら、次の問題に着手する前に答え合わせをします。
間違っていた箇所は、必ずチェック。

Wordの操作であれば、手順を覚える。
(解答と共に、解説も同サイトに用意されているので、ちゃんと読み返しましょう)
ビジネス文書や日本語の知識を問われる部分であれば、テキストを読み返す。

採点後の復習がきちんと終わったら、新たなサンプル問題へと着手してください。

ただ、注意点としては、このサンプル問題……テキストに載ってない範囲のWord操作も出題されているんですよね。
これが本番で出るかは謎ですが、一応さらっと把握しておいた方が無難だとは思います。

3.公式テキストの模擬試験

さて、サンプル問題が全て出来たら、とうとう模擬試験へと挑みます。

実際に時間を計測して挑みましょう。
サンプル問題をしっかり復習していた方であれば、所要時間の30分は余裕です。

もちろん、こちらもサンプル問題の時と同様に、3回分を一気に進めないこと。

1回分が終わりましたら、必ず採点→復習へと進みます。
また、解答ページには試験のポイントも書かれていますので、必ず読んでおいた方が良いです。

実技の制限時間は30分ですが、模擬試験は20分程度で出来ることを目安にしてください。
……と、いいますのは、本番当日は万全の状態で挑めるとは限らないからです。

急な体調不良な可能性もありますし、検定会場のパソコンが不調な可能性だってあります。
マウスが大暴走をしたり、キーを押しても反応が遅かったり…こんな例は、少なくありません。

上記のような多少のトラブルに遭遇しても、余裕をもって挑めるぐらいにしておきましょう。

4.日商PC検定3級実技試験体験版

日商PCはプログラムによる判定が行われる試験です。
テキストにどんなものかスクショ画像つきで書かれていますが、より本番のことが知りたい方は、日商PC学習倶楽部に用意してある体験版をやってみてください。

…ただ、当たり前ではありますが、この体験版はインストールが必要なんですよね。

その点がネックですが、1回の検定の為にインストールしたくない人はやらなくても良いんじゃないかな?と思います。
サンプル問題と模擬試験を全て出来ていれば、十分です。

この体験版をやらない方は、公式テキストに載っている本番のプログラムの説明文は必ず一読するようにした方が良い、とだけアドバイスしておきます。


と、いうのは、実は日商PC試験は……制限時間がきても、勝手に終了しないんですよ。
「社会人は時間厳守、当然だよね?」と、ビジネスパーソンらしい行動力が問われているのでしょう。多分。
つまり、自分で「終了」宣言をしないと、ダメなわけです。

実は、この終了を忘れて、制限時間オーバーによる減点で落ちてしまった方が実際にいます。
この方は、翌日の再試験には満点に近い数字で合格しましたが、制限時間オーバーの時はズタボロでした。
制限時間を超えた分の減点は、おそらく秒単位……当時の様子を聞いた話から考察すると、1秒あたり3~5点ぐらい減点されていそうです(あくまでも個人による考察なので、正確にはわかりません)。

特に、試験を終了をするボタンの位置は絶対に把握しておいた方が良いです。

学習ポイント

学習用の教材は揃えた、これで合格!……と、環境を整えただけで満足するのはダメです。
これより下は、具体的な学習のポイントを押さえて紹介したいと思います。

ビジネス文書のフォーマットは確実に覚えるべし

文書番号、発信者などは右揃え、標題は中央揃えなど、ビジネス文書を作成する上での「基本的なルール」は必ず覚えましょう。

MOSでは、これらの文字を入力する際は「右揃えにします」等の具体的な指示つきで出題されます。
ですが、日商PCの場合は「これぐらい知ってて当然だよね?」といった部分は、問題文による指示はありません。
そして、指示がないからといって、何もせずにいると減点されます。

ビジネス文書を作成する上での基本的なルールを知らないとダメなのが、日商PC(文書作成)なのです。

国語力(読解力)が非常に重要

他のPC検定では問われない分野ではありますが、日商PCの場合は国語の能力が非常に問われます。

実技問題では出題頻度が高いものとして、敬体(ですます体)を常体(である体)に修正しろという問題文が出ます。
また、「こうした数行の文章を箇条書きにしろ」といった所謂「国語」の内容な出題もあります。

他には、丁寧語・謙譲語の使い分けもある程度が出来ないと、知識問題・実技問題で答えることができません。

これらの言葉の使い分けのルールは、公式テキストに書かれております。

問題文を読む際は、文字だけで「何を」「どうするのか」をわかるようにする

当然のことながら検定の出題は全て文字による表現です。
公式テキストのように、スクショを見ながら解くことはできません

最低でも、問題文を読み、「どこを指示されているのか?」「それをどうすればいいのか?」を判断できるレベルの読解力が必要となります。
筆者はパソコン初心者~中級者へとお教えしていますが、これが出来ない方が一定数いるのが現状です。

文字を一切読まず、テキストの解説ページのスクショ画面を参考に操作する人が非常に多い。

「どこを(何を)」がわからない場合は、調べる。
「どうするか」の操作がわからない場合は、調べる。

これを徹底してください。
決してわからない問題が出題されても、すぐに解答ページを見て、そのまま操作をトレースしてはいけません。

同じ問題を繰り返ししている方の中には、「解答を見て、操作するだけ」で、「問題文の意味を理解しないまま、解き続けている」方がいます。

これはアナログで表現するならば、いわゆる「丸暗記」状態です。
こうなってしまっては、既に遅いです。
(Wordの操作だけならばこの勉強法でも何とかなりますが、国語的な表現による問題文の場合は致命的です)

もし、貴方が丸暗記状態になってしまい、手持ちの問題集を全て覚えてしまった状態であれば……このページの下に対策法を書きましたので、参考にしてみてください。

独学であれば、解答ページで確認したら「なぜ、そこをそうするのか?」といった理由がきちんと分かるようにしてください。
……もし、自分だけの力では難しいようであれば、パソコン教室に通うことも視野にいれましょう。

表記は統一

MOSで学習された方は「英数字は半角」というルールがあるのはご存知でしょうが、日商PCの場合は違います。
英数字(アルファベットや数字)は、全角なこともあれば、半角なこともあります。

見分けるポイントは、もとのファイルで使われているのは、全角と半角のどちらかを把握すること

本文中を見て、半角で入力されていたら、追加および修正する文字は全て半角に。
逆に、全角で入力されていれば、自分も全角で入力してください。

また、「取組」「取組み」「取り組み」などの複数の送り仮名のパターンがある単語も要注意です。

ひとつの文書内での表記は必ず統一するのは、暗黙の了解とされています。
こちらも統一がされていない場合は、しっかり減点されます。
(※Wordの機能は、表記に揺れがある場合は波線で注意を促すようになっておりますが、全てに対応しているわけではないので、この機能だけに頼るのは危険です)

表か図解(図形)の編集スキルも必要

こちらはWordの操作のスキルが問われる面ですが、文書の下に「表」または「図」がある文書の編集が必要となります。

表ならば、行や列の挿入・削除をした後で、追加テキストの入力。
図ならば、既存の図形をコピーしたりした上での追加テキストの入力。
それぞれ罫線や塗りつぶしの変更等もあります。

やはり、これらも文字と同様に既存のものと統一された色や塗りつぶしに設定する必要があります。


また、表の場合は……出題頻度は非常に稀だと思いますが、Excelのような数式の入力が必要になる出題もあります。

テキストには書かれておりませんが、Wordの数式(SUM関数)はExcelと若干の仕様が違う点があります。
具体的に言ってしまうと、セルの参照が「$」マークがないけど、絶対参照の扱いなんです…。
また、Excelのようにリアルタイム更新はしてくれません。

あと、テキストに記載されている範囲ですが、関数を入れたセルの上部全てを対象にする英単語もあります。
ここら辺はテキストに掲載されておりますので詳細は省きますが、日商PC検定倶楽部のサンプル問題にも数式を入れる表の問題が1問だけあります。
必ず確認してください。

日本人なのだから、国語なんて余裕?

国語的な能力が問われると長々とお話しましたが、日頃から文書を読んだり書いたりする経験のない方は、かなり劣っていたりします。
(正直、現役の小中学生より酷い社会人は割と多いです)

そして、不思議とヤバイ方ほどWordの操作だけを集中的に学習してしまうのです。
(本当にあった話ですが、宛先は敬称なし、差出人に様を付けるという方もいましたが、本人はこれでヤバイと思ってないから、本気でヤバイわけです)

日商PCに対応したパソコン教室が滅多にないのは、こういった国語的な指導能力がある講師がいない為だと思います。
もし、パソコン教室へと通うことを考えている方は、こういった部分の指導をしっかりしてくれるかどうかを確認した方が良いです。
(中には、国語的な部分は全て自習にしてしまうパソコン教室もあるそうです…)

日商PCの公式テキストは、MOSのテキストと違ってプログラム判定のある模擬試験はありません。
故に、筆者が講師をしているPC講座では、全員にデータを提出してもらったものを採点してお返ししています。

全3回の模擬試験を全て提出していただきましたが、満点を取れる人はいませんでした。
特に、「表記の統一」ができてない方が非常に多いです。

丸暗記で学習してしまった方への対策

先ほど述べました通り、「解答を見て、操作するだけ」で、「問題文の意味を理解しないまま、解き続けている」方への対策です。

どういった方が丸暗記状態なのかと申しますと、全く同じ出題内容であれば100点を取れるが、初めて見る出題内容では点数が伸び悩む方です。
無論、本番の検定試験では初めて見る問題ばかりですから…結果はお察し。

さて、残念ながら丸暗記で学習してしまった方は、公式テキストではありませんが下の本を購入して「新しい問題に挑戦」してください。


第4章の実技問題が本番の実技と似たような形で10問も用意されております。
このテキストは、こうした実技と似たような課題は、公式テキストより多くある点が良いです。

少し気になる点は、公式テキストに載ってないWordの機能も一部出題されているところでしょうか。
たしか、この本の著者は日商PCの試験会場となっている教室の講師(のはず?)なので、おそらく実際の検定問題を多く見る機会があるでしょうから……出題される可能性が少しでもある、と思った部分を出題しているのかもしれません。

(余談ですが、知識問題がスマホ等で学習できる特典がありますので、そういった意味でもお勧めです)


さて、これで新しい実技問題は入手できました。

この新たな問題に挑戦する際は、「問題文を読んで、内容を理解できるように」してください。

もし、わからなければ、周りの人に「この問題文は何を言っているか?」を教えてもらうようにしてください。
Wordが使えない方でも、日本語がしっかりしている方なら答えられるはずです。

正直、丸暗記タイプの方は、大体の場合は「Wordの機能」ではなく「日本語能力」の部分が欠けた結果による不合格が多いのです。
こうした方の場合、解答を見ても「問題文に書いてないけど、何でこうしなきゃならないの?」がわからないまま、解答ページ通りに修正して終了!……を繰り返してしまっているわけです。

「問題文に書いてないけど、この操作をしなきゃならない理由」はしっかりと把握する、これが合格するには非常に重要です。

2級の勉強法は?


根本的な部分(国語的な表現等)は3級と同じですが、3級は1枚のビジネス文書の作成だったのに対し、2級は2ページの文書を作成することとなります。

こちらは、公式テキストしか勉強資料がありません。
3級と同様に、実技用のテキスト、知識用のテキストの2種類をご用意ください。

●実技(Word操作が書いてあるやつ)はこちら。

●似た表紙なので間違いやすいですが、知識科目のテキストの購入もお忘れなく。

2級に関しては、公式テキストをやれば良い…というわけではありません。
冒頭にお伝えした通り、基本的な部分は3級と同じです。
ビジネス文書のフォーマット、正しい日本語の使い方など、日商PCの検定に準じたルールを把握しているかが鍵となります。

初めて日商PCに挑戦する方で、いきなり2級を受ける方へのアドバイスですが、「日商PC検定倶楽部にある3級のサンプル問題は必ずやっておいた方が良い」とお伝えします。
公式テキストでは掲載されていないワードアートの操作等が、こちらのサンプル問題で学習できるんです。

実際に2級を受験された方で、「テキストに載ってなかったけど、3級サンプル問題にあったやつが出た!やってて助かった!」といった感想が出てきましたので、やった方が良いです(何せ、タダですし)。

あと、序盤に申し上げました通り、3級の範囲である「日本語能力が問われる出題」は2級でも共通です。
こちらのサンプル問題でしっかり対策しておきましょう。

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