先日の日商PC検定(文書作成)に引き続き、今回はデータ活用についての記事を書きたいと思います。
この記事は、
・合格する為の勉強法が知りたい
・日商PC(データ活用)の内容を詳しく知りたい!
といった方に向けて書いております。
2級の方への対策は後半に書いてありますが、3級を未経験のまま2級を受験したい方の場合は読み飛ばさずに最初から読む事をお勧めします。
知識問題で苦労するが、ビジネス上では役に立つ!
まずは、日商PC検定(データ活用)の出題範囲や内容について軽く説明をしたいと思います。
パソコン関係の資格で、よく挙げられるのは「MOS」か「日商PC」です。
他にもありますが、いくつかあるパソコンの中でも、日商PC検定は少々特殊な部類に入ると思います。
流石は日商と言うべきでしょうか……データ活用(Excel)の知識問題は、簿記3級の初期の初期に学ぶ用語がざくざく出てきます。
とは言っても、別に仕分けをしろというわけではなく、簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)や、頻出が高い勘定科目(売掛金・買掛金など)の用語と意味を覚えるぐらい…でしょうか。
テキストの該当ページ数は片手で足りる程度なのですが、やはり全く簿記の「簿」の字も知らない人は非常に苦労することでしょう。
簿記と表現しましたが、経理も担当している事務員さんなら恐らく目にする機会の多い用語も多々あるので、そういった方は苦労しなくてすむ範囲です。
また、そういった経理で出てくる用語以外にも、「売上原価を求める計算式」「売上構成比を求める計算式」など、ビジネス上で使用する計算式を覚えておかねばならない出題があります。
筆者は簿記3級をもっているので、この日商PC3級の範囲では知らない部分は「キャッシュフロー計算書」ぐらいで特に苦労はしませんでしたが、簿記を知らない学生さんや事務系以外の社会人は苦労するかもしれません。
逆の表現をするのであれば、事務や経理等のデスクワーク職に就きたいという理由でパソコンの学習をするのであれば、日商PC検定は最もお勧めです。
ただ、デメリットを挙げると、実技+知識問題(アナログで例えるならば筆記試験。勿論、日商PC検定はコンピュータ判定なので、PCで解答します)がありますので、他のパソコン試験に比べて難易度が少々高い事でしょうか。
実務で使えるかどうかはともかく、何でもいいから履歴書にPCの資格を記載したいというだけの人には向かないです。
(個人的にはこうならないようにして頂きたいのですが、特定の期限内で資格を取得しなければならないという人も世の中にはいるでしょうしね)
何でもいいから何かパソコンの資格が欲しいという方であれば、MOS。
ビジネス上でも役に立つ知識が欲しいというのであれば、日商PC。
…といった基準で、どの検定を受験するかを選ぶと良いと思います。
なお、職業訓練の中では「CS検定」や「サーティファイ」もよく見かける資格ではありますが、今回は除外して考えさせて頂きました。
(特にサーティファイは一般的な人の知名度が低い上に、受験できる地域が限られているので個人的にはイマイチかな、と。Adobeソフト関係の資格であれば利点はあるのですが…)
公式テキストを2冊、手に入れる
では、実際に受験をするのであれば……の話ですが、文書作成の記事にも書きました通り、日商PC検定は過去問の入手が不可能な為、やはり公式テキストの購入は必須です。
理由としては、テキストに掲載されている模擬試験には、(後述する)日商PC検定倶楽部のサンプル問題にはないパターンが記載されています。
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また、当然のことながら、知識科目の対策用のテキストも別途必要となります。
こちらは純粋な問題集となっておりますので後日の入手でも構いませんが、必ず受験前に全問解けるようにしてください。
(※3教科共通のテキストなので、他の科目で既に問題集を購入済みであれば新たな購入は必要ありません)
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データ活用の問題はパターンがある
日商PC検定の場合、文書作成(Word)よりデータ活用(Excel)の方が対策が非常にしやすいです。
と、いいますのは、出題の流れは大体のパターンが決まっており、
- 売上データの追加や削除等の編集
- 集計表に集計データをまとめる(※集計表は2つある)
- 売上構成比等の計算をして、集計表を完成させる
- 2つめの集計表をもとにグラフを作成する
(アンケート集計のお題だと、1番目のデータ追加や削除等の編集作業はいりませんが)
こうした大まかなパターンがありますので、基本的にはテキストや日商PC検定倶楽部などの問題を繰り返し解くだけで大まかな内容が把握できるのです。
ただ、前述したとおり、少しイレギュラーな出題が公式テキストには掲載してありまして…。
やっている事は上記のパターン通りなのですが、Excelの表の見栄えが全くの別物に見えてしまい、筆者のPC講座の生徒の中には初見では解けなかった方が多くいました。
3級に関しては他社からも学習教材は出ておりますが、公式テキストは必ず準備してください。
実技の学習の手順
さて、公式テキストを入手できたら、いよいよ学習に入ります。
真っ先に知識分野の詰め込み……と言いたいところなのですが、正直データ活用の分野に関して言えば「関数の解説を読んだところで、実際にやってみないと理解できない」といった点が本音ですので、いきなり実技に入っても大丈夫です。
ただし、「各種、伝票の種類と使用用途」「財務諸表の種類や主な勘定科目」といった経理の分野に関する知識は実技をする前からしっかり覚えるようにしてください。
テキストのページ数は大したことがありませんが、正直かなり覚えにくく、複雑な部分ですので元々の知識がない方の場合は覚えるのは非常に苦労します。
以下は、実技に関しての手順を記載しておきますが、知識問題に関しては実技より前…もしくは、実技の合間に小まめに学習をしていってください。
正直、データ活用の場合、落ちる可能性が最も高いのは知識問題の勉強不足です…。
1.公式テキスト(模擬試験以外)
まずは、実技の掲載している章を最初から実際にExcelを動かしながらやってみてください。
関数や計算式が出たら、テキスト前半の知識の学習の章も合わせて見るよう心掛けた方が吉。
それらが、どんな場面で使用するのか把握しておきましょう。
また、計算式の場合は「○○を求めろと言われたら、この計算式」と思い浮かぶことが出来るレベルで覚えてください。
(※MOS試験では「○○は、○○×○○で求めます」といった感じで問題文で親切に計算式を教えてくれますが、日商PCでは計算式は教えてくれませんので、自分で考える必要があります)
2.日商PC学習倶楽部のサンプル問題
公式テキストで試験範囲の全体を学習したら、そのまま模擬試験へ…と進みたくなりますが、その前に日商PC体験倶楽部のご利用をお勧めします。
ですが、ここで注意点が一つあります。
2024年現在、11個のサンプル問題が用意されていますが、サンプル問題1だけは解かないようにしてください。
実はサンプル問題1は……公式テキストの第1回 模擬試験と全く同じ内容なんです(2024年現在)。
ですが、サンプル問題の解説と公式テキストの解説の一部が違う部分もあります。
おそらく公式テキストの方が正しい解説だと思われる部分がありますので、こちらのサンプル問題1はスルーした方が良いのでは?と思います。
また、解説ファイルも用意されていますが……こちらもあまり参考にしない方がいいかな?とは思います(あくまでも個人的な意見です)。
と、いいますのは、集計表を作成する際の集計方法は何でも良いとされており、集計の方法は大きく分けて3通りあります。
どの方法でも良いとされていますが、これから3級を受験するような初心者がデータベースを見ただけで最適な方法を瞬時に判断できるでしょうか?
……無理でしょう?
もっと言ってしまえば、実は3通りの方法の内ピボットテーブルさえ覚えてしまえば、どのパターンでも対応可能なのです。
ですが、サンプル問題で用意されている解説では、「この問題文は集計機能」「この問題文はピボットテーブル」と固執した部分があり、別の手段まではカバーしてくれません。
なお、このサンプル問題での注意点ですが、1つのサンプル問題を解いたら、次の問題に着手する前に答え合わせをしてください。
間違っていた箇所は、必ずチェック。
答え合わせは、模範解答の集計表の掲載されている2つのシートと数値が合うかどうか?だけを確認し、間違っていたらテキストを再確認して「どこをどう間違えたのかを探る」ようにしてください。
一気にガーっと解くのはNG。
学生の頃に経験がある方がいるかもしれませんが、大量の問題をこなしたことに満足してしまうだけの結果となります。
1つ解いて、正解しているかどうか確認。
間違えていたら、どうして間違えたか探る。
こうして、一つひとつ理解を深めながら学習していってください。
3.公式テキストの模擬試験
サンプル問題が全て出来たら、とうとう模擬試験へと挑みます。
(※この時点で、知識問題の学習もきちんと終えた状態にしてください)
実際に時間を計測して挑みましょう。
サンプル問題をしっかり復習していた方であれば、所要時間の30分は余裕です。
もちろん、こちらもサンプル問題の時と同様に、3回分を一気に進めないこと。
1回分が終わりましたら、必ず採点→復習へと進みます。
また、解答ページには試験のポイントも書かれていますので、必ず読んでおいた方が良いです。
実技の制限時間は30分ですが、模擬試験は20分程度で出来ることを目安にしてください。
……と、いいますのは、本番当日は万全の状態で挑めるとは限らないからです。
急な体調不良な可能性もありますし、検定会場のパソコンが不調な可能性だってあります。
マウスが大暴走をしたり、キーを押しても反応が遅かったり…こんな例は、少なくありません。
上記のような多少のトラブルに遭遇しても、余裕をもって挑めるぐらいにしておきましょう。
4.日商PC検定3級実技試験体験版
日商PCはプログラムによる判定が行われる試験です。
テキストにどんなものかスクショ画像つきで書かれていますが、より本番のことが知りたい方は、日商PC学習倶楽部に用意してある体験版をやってみてください。
…ただ、当たり前ではありますが、この体験版はインストールが必要なんですよね。
その点がネックですが、1回の検定の為にインストールしたくない人はやらなくても良いんじゃないかな?と思います。
サンプル問題と模擬試験を全て出来ていれば、十分です。
もし、問題数が少なくて不安だというのであれば、別の出版社から出ているテキストを追加で購入するのもおススメです。
こちらのテキストでは、模擬試験(知識問題+実技問題)が4回分あります。
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こちらのテキストは公式テキストではありませんが、知識問題がスマホで学習できたり……と、かゆいところに手が届く感じ。
ただ、少しだけ引っ掛かる点を挙げるのであれば、VLOOKUP関数が範囲として模擬試験に出題されているので、公式テキストで学習していた人は戸惑うかと思われます。
(公式テキストではVLOOKUP関数は出題範囲と書かれてなかったので、本当に覚える必要があるのかは少々疑問に感じますが…)
その一点以外は非常に良いテキストだと思います。
実技の学習ポイント
3級に限って言えば、実技試験は何パターンの中(大きく2つに分けると、アンケート集計か売上集計)から出題されますので、ポイントさえ押さえておけば独学でも余裕で合格できると思います。
ピボットテーブルは必須!
データの集計方法はテキストで3種類ほど紹介されておりますが、ぶっちゃけピボットテーブルの集計方法さえ覚えていれば良いです。実務で言うならば、リアルタイム更新をしてくれる関数で入力してあった方が今後の為には良いのですが……正直、関数で解くことができない問題が出題されることがあるんですよね。
「これは関数で解ける?」「これは無理?」と考える時間が勿体ないです。
検定は、検定だけのことを考えて、素直にピボットテーブル一択でいきましょう!
……また、2級の受験を視野に入れるのであれば、やはりピボットテーブル一択になりますので、他の集計方法は(日商PC検定に限って言えば)覚えなくて良いです。
実務ではSUMIFやらAVERAGEIFやらを使ってくれた方が良いんですけどね。
正直、ピボットテーブルを楽々使いこなせるレベルの人なら、検定合格後でも覚えるのは楽勝の筈。
数式は半角で入力
Excelの初心者さんに最初にお伝えするのはExcelには「文字」と「数値」の2種類あるという事です。そして、「数式とは何?」といった解説をします。
あまり良い解説ではないかもしれませんが、私の場合は「Excelに考えさせて、Excelが答えを出してくれるものは数式だよ。必ず最初に『=』から入力してあげるのがルールだよ」と教えております。
……そうしないと、関数のネストをする際、関数の」前に『=』を入力する人が増産されるのです(笑)
(この説明の仕方が正しいかどうかは不明ですが、ルールを説明する上では最も理解されやすい説明であると思ったので、こういった説明をとっております。ここら辺の良い説明方法、初心者向けのExcelの本を参考にしようと見ても書いてないのです…)
最近のExcelは、数字だけ入力してある場合は自動的に半角数字に置き換わる仕組みになっております。
ので、あまり気にしなくてもいいかもしれません。
けど、全ての企業が最新のExcelを使用しているわけではありません。
もしかしたら、Excel以外の表計算ソフトを使用しているかもしれませんし、自動的に半角に置き換わる機能がないかもしれませんしね。
列見出し・行見出しの文字をしっかり確認する
試験勉強に慣れてきた人ほど引っ掛かる所がコレです。ごくまれにですが、おかしな順番に列や行が並んで作られている事があるんです。
例えば、集計表は昇順だったのに、グラフ作成をする為の表は降順で作られている…とか。
受験者を引っかける為に、わざとそう作っているんでしょうね。多分。
こういった意地悪な出題も稀にありますので、列見出し・行見出しは必ず確認するようにしてください。
これ、実務でも結構重要で、去年の表を流用して使いまわしたら、一部の文字が今年の年に変更し忘れていた……という事が割とよくあります。
こういった「見落としやすい部分」は慣れていけば何となくわかってきますので、意地悪な出題も実務の練習だと思って飲み込んでください。
2級について
2級の方は、一気に難易度が上がります。
3級が楽勝に感じたから2級に挑戦しようとして、やっぱり無理だと悟って逃げかえる人は割と多いぐらい難易度に差がありすぎます。
用意された2つのファイルを使用し、片方は「自分で必要な項目(列)を作成し、計算式を入れる」必要が出てきます。
また、計算式ではなく、「用意されたデータから別シートでピボットテーブルで集計した結果を、作成した新たな項目(列)にコピペする」作業も待っています。
そして、上記のデータを用意したら、今度は「別の集計用ファイルに、ピボットテーブルで集計した集計後のデータを貼り付ける」。
更に、その集計後のデータを見て、複合グラフの作成が必要です。
そして、それを元に、「この項目は売上が○○になっているから、グラフでは○○な感じになっている」といったデータを見た上で分析結果を答える必要が出てきます。
(これは完全に3級では出てこなかった事項ですね)
3級との大きな違い
・2つのファイルの同時操作(タブやウィンドウの切り替え等への慣れが必要)
・グラフ作成時に必要なデータの集計の列が用意されていない(自分で列の作成および計算が必要)
・グラフや集計結果をもとにした分析をする必要がある(表やグラフを見る力が必要)
・グラフ作成時に必要なデータの集計の列が用意されていない(自分で列の作成および計算が必要)
・グラフや集計結果をもとにした分析をする必要がある(表やグラフを見る力が必要)
正直、文字だけで表現しても意味不明かと思われますので、公式テキストの模擬試験を参考にしないと無理です。
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上記テキストでは、3回分の問題がついています。
やってみると分かると思いますが、2級は難易度は跳ね上がりますが、パターンは全て似たような感じになっております。
残念ながら、現在の日商PC検定2級の対応する問題集はこのテキスト以外に存在しません。
10年以上前のテキストでは、非常に良い問題集があったのですが……今は廃盤となっております。
現在のテキストには書かれてない部分が廃盤テキストにも記載されていますので、軽く下に書いておきます。
廃盤テキストに出題される関数
私のPC教室の教え子からの検定後の感想ですが、「廃盤テキストにしか載ってない関数を覚えてないせいで解けなかった」といった意見が出ましたので、念の為に廃盤テキストの問題で解く為に覚える必要のある関数を掲載しておきます。(これはあくまでも個人的な意見であり、もしかしたら別の箇所にデータが用意してあって、関数を使用しなくても解けた問題だったかもしれません)
過去のテキストに掲載されていた関数
・DATEDIF関数
・LARGE関数
・SMALL関数
・LARGE関数
・SMALL関数
特に、DATEDIFは頭文字を入力しても補完されないし、(fxと書かれた)関数を挿入ボタンから入力しようにも出来ないという厄介な関数です。
けど、使い勝手が良い関数でありますし、こちらは確実に覚えておいた方が良いでしょう。
なお、上記以外の関数に関しては、公式テキストで確認してください。
注意点としては、知識科目の章のみ掲載されている関数が何点かありますが、そちらの関数も実技試験で使わないと解けない問題が出題されることが多々ありますので、きちんと解けるように学習をしてください。
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